カトリーヌ・ドヌーヴDVD−BOX発売!

4月20日ポニーキャニオンから(発売元ジェット・リンク)、なんと「カトリーヌ・ドヌーヴDVD-BOX」が発売された。このジェットリンクという会社が正体不明なのであるが、最近はポニーキャニオンを通じて、70年代に想いを寄せる我々に向けて、確実にヒットする作品を出してきてくれる。よっぽど社内に同じような一時代にこだわっている人がいるのだろう。

今まで発売した作品を見回せば一目瞭然。おそらく一番売れたであろう「70’Sムービースターヌード大全集」を皮切りにスーザン・ジョージ「おませなツインキー」、ナタリー・ドロン「個人教授」(新も)、キャサリン・ロス潮騒」、イザベル・サルリ「先天性欲情魔」と知る人ぞ知る映画ばかり、そして今回のドヌーヴBOXだ。

BOXには「ひきしお」「うず潮」「恋のマノン」の3作品が収録されている。宣伝文句でも、この人気順に作品紹介をしているが、公開順は「恋のマノン」「ひきしお」「うず潮」となる。まさにカトリーヌ・ドヌーヴの70年代における代表作(作品クオリティではない)である。特に「ひきしお」はリアルタイムで初めて見たドヌーヴ作品で想い出深い。公開は1972年7月で、中学3年生の男子には刺激が強い(一言でいうとマルコ・フェレーリの変態映画)映画だった。公開順でいう2番目がリアルタイムということは「恋のマノン」(71年11月初封切り)は後から名画座へ追いかけて見たのだ。

シネコン登場以前は映画館がそれぞれのカラーを持っていた。東京の東宝系で言えば有楽座が文芸およびスペクタクル大作、日比谷映画が男性アクション映画といったようにである。日比谷スカラ座(今のではない)は、女性層をターゲットにした作品ならお任せというカラーを持っていて、ドヌーヴの作品は大半がこの映画館(もしくはもう少しアート色が強ければ、みゆき座)での上映で「ひきしお」も「うず潮」もここで見た。

よくもまぁ、中学3年生がこんな格式ある所で「ひきしお」なんか見れたものだ。何といっても見せ場は、ドヌーヴが薄いネグリジェ1枚で海に浸かって出てくる場面。もう濡れてスケスケなのである。この名場面をグラビアとして掲載してくれたのが、近代映画社が『スクリーン』の姉妹誌として出していた『別冊スクリーン』。この本は血気盛んなティーンエイジャーの洋画ファンにはマストアイテムで、ポルノ映画をはじめ、洋画のエッチな作品の(本誌でなかなかできない)紹介雑誌だった。

「ひきしお」で初めてフランス語をひとつ覚えた。ドヌーヴがマルチェロ・マストロヤンニを誘惑するシーンで言う“来て”という台詞(男が言うと“おいで”となるのか?)の“ヴィヤン”(どう書くかは知らない!)というフランス語だった。彼女が言うのが超色っぽかったのだった。日比谷スカラ座で、76年10月封切り「うず潮」は単なる大ヒット作「ひしきお」にあやかっただけの放題で、原題はフランス語『野蛮』といった意味だったと記憶している。

「ひきしお」ではマルチェロと共演(この後ドヌーヴはマルチェロの子供を産む、それが女優のキアラ・マストロヤンニ)したが、この「うず潮」はイブ・モンタンと共演。堅物で孤独を愛し、野蛮人のような生活をしているイヴ・モンタンと、自由奔放で結婚に縛られることを嫌った、タカビーな女のロマンティック・コメディだ。監督はドヌーヴと「城の生活」(DVD出してくれ!)を作ったジャン・ポール・ラプノー。序盤に上半身の裸のシーンがあり、おっぱいバッチリだったなぁ。作品としても、これは楽しめますからオススメですな。

結局は好みの問題だが、同じフランス人の女優のブリジット・バルドーが最高のセックス・シンボル(アメリカのマリリン・モンローとの関連で、MMとBBと言われますね)で、ドヌーヴにはセックス・アピールがないという人が多い。しかし、自分にとってはドヌーヴこそが最大にセックス・アピールが(髪に、眼に、唇に、ボディに、)あり、シンボルだと思っている。これって変わってますかねぇ。