見せ場だらけの「アベンジャーズ」なのだが…

今年のアメリカ映画の、サマーシーズンの公開作で最もヒットした「アベンジャーズ」の結果に、最もビックリしているのは、もしかしたら映画を作ったマーベル関係者その方たちじゃないの?と思ってしまうぐらいのメガヒットだったが、普通の日本人が普通に見てどうだったのか?宣伝文句どおりの上から目線が罷り通るのか?冷静に映画として見て、はたして優れていたのだろうか、を考えてみたい。

「アイアンマン」の1作目は見逃したものの、一応、「マイティ・ソー」「キャプテン・アメリカ」も、「ハルク」の2作(でもどっちのハルクが今回のと関連しているのかの意識はまったくないです)も見てはいるが、それほど濃い思い入れはない。普通のヒーローものとして楽しんだだけである。

そのマーベルヒーローたちのオールスター集合はどういうことなのか?往年の映画俳優で言えばクラーク・ゲーブルジョン・ウェインヘンリー・フォンダジェームズ・スチュワートの豪華競演というところか?作品的に近いところは「史上最大の作戦」か?いずれにしろ、こうしたオールスターものの難しいところは、各人の見せ場が無くては不公平感が産まれるということ。

そうした部分で言えば、この監督は(ジョス・ウィードン、すいません知りません!)無難にまとめあげているが、それ以上でも、以下でもない。まさにヒーロー活躍のビデオクリップだ。よって、見せ場の連続で飽きさせはしないが、これをギュと縮めたものが予告編として、すでに目に触れている状態だ。要するに印象としては『予告編で見たとこばかり』となってしまっているのだ。

だから公開前に予告編を散々見させられた側にとっては、新しい驚きは少しもなかった。そして、どうしてこの映画がアメリカで桁外れのヒットとなったかが、理解に苦しむのである。やはり、それは宇宙からの侵略者に対して戦えるのは『アメリカのヒーローだけ』だという意識の、相変わらずの『アメリカ万歳!』の精神のなせる結果なのだろうか?

でも、まさか「マイティ・ソー」からの話を拡大させていくとは思わなかった。「マイティ〜」自体は非常に気に入っていて、神の国のやんちゃ坊主の恋と成長の物語があり、親の苦悩がありと、およそアメコミヒーローものらしからぬ部分が面白かった。しかし、これでいいのだろうか?「マイティ〜」見ていなきゃ分からんでしょ。まぁ、結局、宇宙からの侵略者を作るのにはコレしかなかったのだろうね。

単体の作品がなく、今回が初登場のホーク・アイにも、もっとカッコいい場面が最初からあるのかと思いきや、前半は洗脳されて、少しも活躍せずガッカリ!比べちゃいけないんだろうが、スカーレット・ヨハンソンのブラック・ウィドウも、アン・ハサウェイのキャット・ウーマンに比べるとねぇ…。あと、決定的にガッカリなのは、サミュエル・L・ジャクソン扮するニック・フューリーが、あれだけ各単体作品のラストで出てきてカッコよかったのに、この本番では組織の上とやり合う役目でしかなく、“ニック、あんたは室井さんか?!”と突っ込みたくなった!

やはり、あれだけ街を壊しておいて責任は誰が取るんだという、いらぬ心配をしてしまうほど、映画本編以外に意識がいってしまってはダメでしょう。続編の出来がかなり問われると思いますがねぇ。