「プリンセス・カイウラニ」でハワイ史を勉強!

まだ行ったことはないけど、ハワイが大好きである。身内が一生懸命フラをやっているせいもあるけど、それだけではなく、もっとずっと前から「ハワイの若大将」や「ブルー・ハワイ」といった映画から受けた、憧れの南の島という好印象からだろう。そして、この2〜3年というものハワイを題材にした映画が多い。オスカー候補だった「ファミリー・ツリー」といった大物ではなく、インディーズ配給の作品でだ。

サーフィンから捉えたハワイものは定期的にあったが、昨年封切られた「ワン・ヴォイス」から様子が少し変わってきたように思う。このドキュメンタリーはハワイの音楽と、それを歌う人間に焦点を当て、続いて公開された「マイティ・ウクレレ」は、ハワイが産んだ楽器ウクレレが主役のドキュメンタリーだった。こうしたハワイのカルチャーに絞った視点での作品が作られるということ自体、単なる観光地というだけに留まらない魅力がハワイにあるという証明だろう。

そして、今夏には劇映画として「プリンセス・カイウラニ」が公開となった。ハワイ王国最後の王妃カイウラニの物語だ。と言っても“カイウラニって誰?”が普通だろう。いささかハワイの歴史は複雑なので説明は難しいが、要するにアメリカに統治される前は、ハワイは独立国家であり、その国を治めていたのがカラカウア王で、彼が『ラスト・エンペラー』になる。カイウラニはカラカウア王の妹の娘で『ラスト・プリンセス』という訳である。

その彼女が若き日の穏やかな日々から、ハワイにいては危ない状況となり、イギリスでの(彼女の父はイギリス人)不自由な生活を強いられる。そして英国人青年との恋愛。映画はイギリス時代を描いた時間が一番長く、その頃のイギリス人の自己中心的な考え方が描写される。イギリスに限らず、ハワイ人をいわゆる『原住民』としか考えていなかった時代だったのだ。そしてプリンセスの、国家を背負った形でのアメリカ入国、やっと故郷へ戻ったときにはすでに国家はなかったという、波乱と激動に満ちた物語なのだ。

ハワイで最も有名な王様はカメハメハ大王だろうが、最も文化的に成熟した国家を築いたのはカラカウア王だ。当時は、ちゃんと新聞もあったし、当然国民はちゃんと読み書きを出来る。文化が劣っていると勝手に判断したのは、何も知らない欧州や米国だったのだ。ハワイ最大のフラのイベント『メリー・モナーク』とは“陽気な王様”という意味で、カラカウア王を讃えたイベントなのだ。また「マイティ・ウクレレ」では、その王がウクレレをハワイの楽器として世に送り出したことを教えてくれている。

ニューズウィークの『ハリウッド100年記念特集号』で映画が描いた時代を、かなり細かくピックアップしてくれているが、こうしたハワイ王国の滅亡と、アメリカの『侵略行為』とも見えてしまうの統合の歴史を教えてくれてはいない。映画はまた我々に新たな歴史を勉強させてくれたのだった。1966年のジュリー・アンドリュース主演の「ハワイ」は布教活動を行う宣教師たちのメロドラマで、アメリカ側の視点で描き、こうしたハワイそのものの歴史的背景は薄かったように記憶している(こちらの勉強不足だったら御免なさい)。

キャスト面で嬉しかったのが、ご贔屓の俳優であるウィル・パットンバリー・ペッパーが出ていること。それだけでちゃんと作品の格が上がるのを製作陣は知っているんだろう。ウィルの代表作はなんだろう?1997年「ポストマン」か、98年「アルマゲドン」でいいのだろうか。バリーは「プライベート・ライアン」の若き狙撃兵が強い印象を残したが、代表作は実は2001年のTVムービー「61」というメジャーリーグもの。監督はあのビリー・クリスタル。彼は本当にスポーツが好きなのねぇ。

「61」は不滅の大記録と呼ばれたベーブ・ルースの年間本塁打記録60本に挑んだニューヨーク・ヤンキースの強打者ロジャー・マリスミッキー・マントルの物語であり、バリーは1961年に61本塁打を放ち、ルースの記録を34年ぶりに塗り替えたロジャー・マリスを演じ、エミー賞主演男優賞にノミネートされている。これぞ彼の代表作!そしてメジャー・リーグファンなら必見のTVムービーだ。実はDVDがひっそりと発売になっているから興味があったら見てね。

なんかハワイからメジャー・リーグへと話が飛んじゃったが、それだけアメリカには色んな歴史があるということなんだろねぇ。