L.Aって破壊されてばっかりだなぁ…

なんとか公開が9月に決まった「世界侵略:ロサンゼルス決戦」は、襲いくる宇宙人と軍隊の闘いを描いているようである。予告編を見る限りニューヨーク、パリ、モスクワなどの大都市はすでに宇宙人に破壊され、残るロスだけは死守せよと頑張る小隊(プラトーンじゃないか!)の話らしい。そんな映画に大好きなミッシェル・ロドリゲスが出ているというだけで、あぁ、また格好いい女ソルジャーを演じてくれているのだろうかと期待してしまう。

それにしても、この「世界侵略〜」と同時期公開予定だった「スカイライン−征服−」にしても宇宙人がロスを破壊する話で、かぶり過ぎじゃない?と思ってしまう。ここに今のハリウッドの企画のなさを見ることが出来る。では、何故ロスばっかり襲われるのか?それはちょっと考えれば分かること。あの9・11以降、ニューヨーク(N.Y)を破壊することをハリウッドが遠慮しているのだ。ロスはその代替都市に過ぎないのである。

今までは、L.Aと言えばエイリアンとか怪獣とかには壊されるのではなく、「ボルケーノ」や「2012」のように自然災害でやられる印象の方が強かったように思う。一方ハリウッド版「GODZILLA」はN.Yであり、怪獣は高層ビル郡といった建造物が、大きさの比較対照のために必要のようだ。それは日本が世界に誇るゴジラを考えれば分かる。そして何度、東京はゴジラに破壊されたことか!ある時は有楽町マリオン、ある時は東京都庁、また東京から外れるが、横浜ランドマークタワーもあった。ゴジラはその度に身長を変えて、大きな建造物に対してバランスを取るという特技(?)を発揮した。

そのL.Aに宇宙人が来襲、破壊の限りを尽くす様を、とあるホテルから主要登場人物の目線のみで描いたのが「スカイライン」。いうなればPOV版「宇宙戦争」だ。その視点のみだから、彼らが閉じ込められたホテルから脱出出来るかどうかが主軸の物語で、宇宙人を迎え撃つ軍隊側を大きく描くことをしていない。このバトルシーンの無さが不満のひとつだが、おそらく作者の興味はバトルや人間など(主人公の親友の黒人さんをあっさり殺してしまうでしょ)ではなく、エイリアン軍団の造形の方にあることが見て取れる。

ホテルの内部まで、エイリアン(この造形は古典型タコ足の進化系のような面白さ!)が侵入して人間を探すカットは、まるで「ジュラシック・パーク」のラプトルと子供たちのキッチンのシーンのようにスリリングだ。でもそれ以上に物語を発展させる力量がないようで、結末の着け方に迷った挙句、頂いたアイディアは「第9地区」というわけ。宣伝文句を“二人のチューは地球を救えるか?”とかにしたらピッタリのトンデモない展開だ。

エイリアンの母船に吸収された人間は次々にエイリアン化(なんか悪魔の毒毒系の造形みたい)するが、人間的感情は残っているようで、愛する恋人も一緒に吸収されたので、それを救うべく彼は内部から母船をぶっ壊し始めるってところで、はい終わり。これには絶句でしたねぇ。このラストをどう見るかで、映画の評価が分かれるとかいう以前のような問題だと思いますが…。

この「スカイライン」の不満な部分を、すべて「世界侵略:ロサンゼルス決戦」が補ってくれているだろうと期待しましょうかねぇ。