マンガ映画「高校デビュー」

大人気DVD「THE3名様」やTVドラマ「33分探偵」で人気の脚本家福田雄一と「ハンサム・スーツ」を監督して注目を浴びた英勉が組んだ「高校デビュー」は、その原作である漫画のとおり(読んではないけど、テイストとしては)、ちゃんとマンガ映画になっていて、けっこう楽しんで見てしまいました。同じ漫画を原作とした、小池徹平主演の「ラブ★コン」に似た面白さというところか。

主人公の女子高生は、中学時代はひたすら女子ソフトボールに明け暮れ、高校に入って初めて恋愛をしようと試みる女の子。しかしファッションやら、会話やら、まったくの恋愛ベタ。ところが、その高校に恋愛指南役にふさわしい先輩男子高校生がいた。その先輩はなんと親友の兄。『絶対に俺に惚れるなよ』という条件で、彼女は先輩から恋愛指南を受けることとなる、というお話。まぁ、よくある好きになってはいけない間柄なのに、やっぱり好きになってしまう胸キュンものですな。

実はこの主人公の女の子に限らず、部活スポーツ少女たちの、その競技に打ち込んでいる時の、ジャージ一直線の反動からか、卒業と同時にいわゆる乙女チックになるとTVの情報番組なんかで取り上げていた。学校卒業と同時にジャージからロリータファッションになってしまったりするとのこと。そうすると、あながちこの物語もまったくリアリティがない、とも断言できないのである。

とは言え、そこに展開される描写や演技の表情は、少女マンガのコマ割りそのもの。実はそれが成功しているから映画ってわからない。その演出の特徴は「ハンサムスーツ」で英監督が見せたテクニックと変わりないが、ある意味大人の世界だった「ハンサム〜」に比べて、16歳という主人公の青春真っ盛りの設定のため、よく『ハマっている』のだった。

実は少女マンガの世界を体現するのは、女優よりも男優のほうが比重が高い。大成功した「花より男子」も松本潤小栗旬が、照れることなくマンガの登場人物たちに成りきった功績が大きいだろう。この映画で、その役目を背負ったのが溝端淳平(恋愛指南役です、当然!)。

評判がよかった「君が踊る、夏」を見逃したが、映画デビュー作の「DIVE」の時から、この子は可愛い男の子だけじゃ(この役自体は軟派だけど)、もったいないなぁと思っていた若手ですね。まぁ原作(見てないけど)の読者からも、映画の観客からも、これだったら文句はないだろうと言えるマンガの世界の王子様となっていますね。TVドラマの「新参者」でも阿部寛の部下役で、なかなか良かった(「BOSS」は見てない)ですな。

とにかく脚本家と監督のテイストが、こうした少女マンガの世界に合致すると、意外や面白いものが出来るという証明となった映画でした。