アマンダちゃんは何て呼ぶの?

一番分かりやすい例はスタンリー・キューブリックだろう。「現金に体を張れ」で注目された頃にはカブリックという日本語表記をされていたろう。しかし、しばらくするとクーブリックという表記が登場、ようやく今ではキューブリックが一般的な呼び方となっている。それでも「アイズ・ワイド・シャット」で来日した時のトム・クルーズの発音は、どちらかというとクーブリックに近いように聞こえた。

他にも、『スクリーン』誌がこだわっている表記のケビン・コストナーだったり、『キネマ旬報』誌が固執しているスカーレット・ジョハンソンだったり、外国人俳優の呼び名、もしくは表記の仕方は様々に存在して、統一されていないのが現状ですよね。今やアル・パチーノに統一されているが「哀しみの街かど」で登場した頃はパシーノだったなぁ。

これから「赤ずきん」「ジュリエットからの手紙」「クロエ」と3本も公開作品がある若手女優アマンダ・セイフライドが最近では、どう呼んだらいいんだか分らない筆頭。と言ってピンと来る人は少ないだろう。アマンダちゃんは「マンマ・ミーア」の娘役の眼の大きな女優さんです、と言えば、かなりの人が分かってくれると思いますが。

でも「マンマ〜」の次に出た「ジェニファーズ・ボディ」でもまだ名前が覚えられなかったのは事実。主演のミーガン・フォックスのほうは「トランスフォーマー」のお姉ちゃんじゃなったのに対して、アマンダちゃんはまだ「マンマ・ミーア」のお嬢ちゃんだった。しかし、ここへ来て出演作が続々公開されると共に注目すべきは、「クロエ」と「ジュリエット〜」では名前の表記を、セイフライドにしているのに対し「赤ずきん」の配給のワーナーブラザーズはサイフリッドとしていること。

いったいどっちが正解なのでしょう。そして疑問はなんで突然「赤ずきん」でワーナーが変更してきたか、にある。同時期に他に2本も公開作品があり、そちらがセイフライドとしているのに、なぜ刃向かうようにサイフリッドとしたのか?仮にサイフリッドが(クーブリックのように)音で聞くには近くても(ウィキペディアでもそう書いてあるが)、これから映画をみようとしている観客に対しては、いささか不親切ではないだろうか。

別に『スクリーン』や『キネ旬』もそうしているのだから、ワーナーが悪いという事はないが、アマンダちゃんの名前を(仮に)「クロエ」を見て覚えた観客が、「赤ずきん」の出演クレジットを見たとき、そこにアマンダちゃんがいても同じ女優かどうか、すぐには分からんでしょう、戸惑うでしょう。それは映画業界全体に決して良いことではないと思いますよ。

もっとも、アマンダちゃん自身についていえば、そんな呼び名はどうでもよく、「マンマ・ミーア」ではちっとも魅力を感じなかった(作品自体にもなので、仕方ないか)のに、「赤ずきん」「クロエ」は共に良い!青い瞳と金髪が魅力的なのはもちろんだが、「クロエ」で見せたグラマラスなボディには目を見張ったぞ!また「赤ずきん」では、赤ずきんちゃんは単なる良い子ちゃんではないのよ、というコンセプトを、あの目力を発揮して表現しているではないか。

この2本では、「マンマ〜」で印象付けた躾の良いお嬢さん的な部分はかけらもなく、あの青い瞳を魔性のものとして魅力的に見せている。そう、アマンダちゃんの瞳は一筋縄ではいかないのだ!その魅力でいささか映画の出来が悪くても救ってみせてしまうのだ。今は「ジュリエットからの手紙」の公開が楽しみである。