「ブラックサンデー」ついに公開!

2月5日より『午前十時の映画祭』の2年目が始まった。その2年目で、ひときわ映画ファンの話題になったのが「ブラックサンデー」が50本の中に入っていたこと。昨年そのラインナップ発表のことを書いて、ぎゃあぎゃあ騒いでいたら、70年代映画に興味を持ってきた友人が“朝10時から映画館なんかにゃ、行けねえから、DVD買ったよ”と言ってくれた。

その2年目の年間上映スケジュールを確認したら、なんと六本木では来年まで待たねばならず、その反対に府中のTOHOシネマズは2年目の開幕上映となっている。当然のごとく府中の初日に駆けつけてしまったのであった。なんとフジTVの有名アナウンサーも来て、顔が売れている映画監督I氏にインタヴュー取材を敢行しているほど、注目の上映なのであった。

ジャケ写が最低のレーザーディスクを持っていながら、いつかスクリーンで見られる機会が来ることを願って、封も切らずに置いたままであった。本当に我慢した甲斐があったと実感して、普段以上にワクワクしながら上映開始を待っていた。

そもそもジョン・フランケンハイマーは大好きな監督だ。代表作はと言えば、やはり「終身犯」になるのだろうが、ドラマとして魅せてくれるが、彼の基本はアクションだと思っていた。「大列車作戦」「影なき狙撃者」「グランプリ」と題材は異なるが根っこはアクションである。そのことが最もよく現れているのが実は「ブラックサンデー」(これを見る前は「フレンチ・コネクション」だった)だと今回ようやく確認出来たのであった。

トマス・ハリスの原作を読んだ印象は、もっと政治的背景が細かくあったように思っていたが(記憶が曖昧な部分は大いにあるのですが)、映画の骨格はシンプルなサスペンスアクションになっている。『黒い九月』対イスラエルテロ対策部隊の一騎打ちだ。もし今の時代でコレを映画化されたら、ロバート・ショーの大佐の人間的一面とか、最後はもっと政治的解決的な場面が出てきたりするのだろうなぁ、と思う。しかし、それはいらない時代の映画なのだ。ラストはあれでいいのだ。

アメリカ人でありながらテロ側にたつブルース・ダーンの狂気の表現は当時の彼にしか出来ないだろう。また「ボビー・ディアフィールド」「悲愁」が代表作だったマルト・ケラーがここでは(やっとあのシャワーのシーンが見れた!)激しい女テロリストを好演、そのファッションも含め見とれてしまうのだった。もうすぐ公開のイーストウッドの新作「ヒアアフター」に彼女が出ていると知り、嬉しくもあり驚きでもあった。

そして最後のスーパーボウル開催のスタジアムに、ロバート・ショーが、普通にダラス・カウボーイズのチア・リーダーの横にいたりしているドキュメンタリー映像のような場面はいったいどうやって撮ったのか?そのスケール感に圧倒される。またグッドイヤーの飛行船を、本当に飛ばしているとしか思えない臨場感、もうハラハラドキドキの後半であった(幸せ!)。

アクション場面にかぶるジョン・ウイリアムズのスコアが盛り上げに一役買っているのは明白で、「ジョーズ」ともども70年代後半に、良い仕事していたのですね。しかし、結局エンドクレジットで再確認したのは70年代はパラマウントの時代、いや正確にはロバート・エヴァンスの時代だったのだということである。この映画があり、「ある愛の詩」「ゴッドファーザー」があり、「チャイナタウン」「マラソンマン」と来てはグーの音も出ませんな、参りました!!!

33年、待たされました!待った甲斐がありました!!