頑張れ!ウォルデン・メディア!

映画の一番最初に登場する配給会社のロゴマークの次に、製作会社のロゴが出るようになったのはいつ頃からだったろうか?一番有名なのはハイウェイの一本道に生えている木に雷が当たる『ジェリー・ブラッカイマー』か。他にも油絵の書きなぐりの鳥が飛んでゆく『スコット・フリー』、金属の歯車が回る『ライオンズ・ゲート』、ワーナー配給作品によく見る『ヴィレッジ・ロードショウピクチャーズ』『レジェンダリー・ピクチャーズ』などなど。

静かな湖の水面を水切り石が3つほど跳ねる模様をロゴにしているのが、良質なファンタジー作品を主体に製作しているウォルデン・メディアという会社だ。代表作は「ナルニア国物語」2作である。その前2作品はディズニーが配給を担当するというパートナーシップで公開されてきたが、3作目から配給が20世紀フォックスに変わった。どんな裏事情があったか知らないが、見え方としてはウォルデンがディズニーに見捨てられたんじゃないかと思ってしまう、そんな印象が強い。

しかし、ようやく3作目も無事完成して、今回は3Dとして公開されるのが「ナルニア国物語/第3章アスラン王と魔法の島」である。アメリカでの公開が3Dになっているのに、それほどの興行成績じゃなかったので心配していたが、悪くない出来栄えにほっとしている。ハリウッド映画はこれで良いのだ。ただ、ディズニーが(今までも、そしてこれからも)描こうとしている題材に被る部分が多いのは確かで、これではディズニーが距離をおこうとしたのも分らないではない。

なぜなら、今回の舞台は『海』であり、カスピアン王子は「パイレーツ」のウィル・ターナーを思わせるし、今回の主人公である末娘のルーシーの活躍はエリザベス・スワン、とディズニーが思って思っても仕方ないか。しかし「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのように暗くない「ナルニア」のほうが好きな者にとっては、今回の海の冒険も大いに楽しんだ次第である。

やはりファンタジーものの悪役はダークサイドの誘惑というのはパターンで、今回もダークサイドに覆われた島を助けようとするが、その魔物に惑わされる(この部分でのルーシーの活躍はグッとくる!)。初登場のキャラクターは意地悪な従兄弟の少年。「リトルランボーズ」の悪ガキ役の少年がここでも見事な演技を見せる。この男の子が散々な目に合いながらも、ナルニア国のネズミ兵士に鍛えられ成長していくのがサイドストーリーとして効いている。

そして最後はアスラン王にひと吼えして、締めてもらえば出来上がり!だ。

この後の話に、アスラン王も同じ少年少女も出てこないようだが、第4章もぜひ映画化して欲しい!頑張れ!ウォルデン・メディア!