面白いアクション・コメディ「グリーン・ホーネット」

ミシェル・ゴンドリー監督作品は、たしかに「エターナル・サンシャイン」は見ているが、どうにも映画監督と言うより、ミュージック・ビデオを主にした映像作家という印象が強く、個人的にはたいした思い入れはなく、MTV世代の若者が支持していることにも“好きならどうぞ、しかし実績ないじゃん”としか思えない。

その実績不足の監督にハリウッドが「グリーン・ホーネット」という大作を任せたことにかなりビックリした。誰しも知っているように「グリーン〜」はブルース・リーがKATOという(リーの役柄は当時は執事と呼ばれたが)ブリットの相棒という役で出演しているのでわかるように、アクションが見所。しかし、ゴンドリーはアクション映画なんて撮ってことがない。よってその起用に驚きと不安を感じるのは当然だろう。

ところが、そうした予想を大きく裏切ると言うしかない、ビックリするほどの面白いアクション・コメディとなっていたので、本当に嬉しくなってしまった。「ヒューマン・ネイチャー」「恋愛睡眠のすすめ」「僕らのミライへ逆回転」(これを見逃していて残念!)で発揮していたユニークでオフビート(こう言い方もどうなんだろうと思うのだが)なコメディセンスと、3Dを意識したアクション描写がうま〜くブレンドされていて夢中になってしまった。

コメディ部分をセス・ローゲンに(製作総指揮も)、アクション部分をジェイ・チョウにまかせ、他の出演者、キャメロン・ディアスやクリフトフ・ヴァルツ(このアホなギャング役、最高!)とのバランスも良く、ラストの徹底的な破壊のアクションまでの、ジェットコースター・ムービーとなっている。

新聞社を経営する親父に厳しく育てられ、コンプレックスの塊となったバカ息子が父の死の後、新聞社を継ぎスクープ欲しさに“グリーン・ホーネット”になり、街のギャングの撲滅に(結果的にそうなるだけ)向うというのが大雑把なストーリー。その父に雇われていた中国人がKATO。その二人がコンビとなるが、KATOはロビンのように助手的な役割かと思いきや、兄弟のような存在となり、中盤二人が殴り合いのケンカをするところは、まるで男同士の兄弟喧嘩だ。

セスのバカ息子ぶりを受け入れられれば、この映画は面白く感じられるだろう。それ以外のジェイ・チョウは格好良く、キャメロンは面白くセクシーなのだから文句なし。エンド・クレジットのユニークさも『それでイイのだ!!』と拍手喝采であった。

しかし、ジェイのファンは見にいこうとするだろうが(また満足だろうが)、主演のセスの知名度は日本では全くといっていいほどないので、またゴンドリーファンはこうしたハリウッド作品が嫌いなので(インディーズが良いと勘違いしている連中ですね)、ヒットは難しいだろうなぁ。