スターウォーズはソフトの歴史

1977年の夏、スポーツ新聞の芸能面にこんな記事が出た。『全米大ヒットのSF映画宇宙大戦争」!』(たしかこんな見出しだったと記憶する)。そう、「スターウォーズ」大ヒットの一報だ。今ほど情報の伝達が速やかでなかった時代、当然のように映画の内容など判ろうはずもない。

しかし、日本では一向に公開する気配がない。確かに全米公開と同時に封切ることはほとんどなかった時代とは言え(逆に「カプリコン1」は日本の方が公開は早かったな)、半年待てば公開してくれるのが普通だったのに「スターウォーズ」だけは結局1年後の公開だった(宣伝戦略という見方もあるが)。

見たくてたまらなかった日本人はどうしたか?大挙してハワイまで飛んでいって見たのだった。有名な映画プロデューサー(名前を言えば誰でも知っている)は“ハワイへ何遍も行って、もう何回見たか分からんよ”と豪語していた(目の前で聞きました)。

そうした公開騒動の後、「スターウォーズ」という映画はどんな役目を果たしたか?それはソフトパッケージビジネスのキラーコンテンツとなったのである。

まずはビデオカセット。それもまだ日本版も発売にはなっていない時代(約27年前か)。アメリカで発売されたビデオを輸入し、1本29,800円〜35,000円で売っていた(1ドル280円ぐらいだったか)。今ほど輸入ソフトに対する規制が厳しくない時代だったので、日本語字幕が無くてもよければ手に入ったのだった。

さらに輸入版レーザーディスク(以下LD)。カセットより安価で高画質というわけで、LDプレイヤー購入動機は「SW」が見たいからというキラーソフトぶりを発揮し始める。アメリカ版のLDは1枚仕様。あれっ、たしか「SW」は121分、LDは1面60分の収録なのだから1枚では収まらない筈なのに?そのアメリカ版のLDはうまいことエンドクレジットなどを早回し、1枚に収めてしまったのだった。

完全版が大好きな日本人は、このアメリカ版に不満。よって、ようやくパイオニアから発売になった日本版2枚組み3面仕様のLDに飛びつく。しかしながら、まだ画面はTVサイズトリミング版。さらに字幕は右側縦書きという今では考えられないスペックだった。

日本版ビデオカセットの方は、当時の権利者であったCBS/FOXが日本のパートナーを探しに上陸、ようやく松竹に決まって松竹CBS/FOX(SCFといった)というレーベルで発売したものの、字幕をアメリカで入れたマスターを使用したため、翻訳に問題があって、これまた不満。

LDではエピソード4〜6までのワイド版BOXが発売されるものの、いささか販売は不調に終わって、市場に大量に在庫が余ってしまう。しかし、しばらくしてエピソード1が公開になるという情報が出、予告編が劇場にかかりはじめた頃からまた売れはじめ、結局公開時にすべて売れてしまうという、さすがの威力を発揮する。

本格的にデジタルの時代となり、「特別編」が製作、公開となりDVDの発売となる。そこでも市場を牽引する力を見せ、「SW」は誰しも認めるキラーコンテンツとなる。ここまでがざっと「スターウォーズ」という怪物映画がたどったソフトの歴史だ。「SW」そのものがソフトの歴史と言ってもいいかもしれない。

そして遂に、本年9月にブルーレイディスクになることが決定となった!いまいち盛り上がらないBD市場のカンフル剤となり、またしてもキラーコンテンツの役目を果たしてくれるのだろうか?いや、果たしてもらわねば困るのである!

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