ソン・スンホンさんとセガールさん!

意外な面白さだった2本の映画のこと。1本はハリウッド映画の日本版リメイク「ゴースト もういちど抱きしめたい」。そもそもオリジナルのデミ・ムーア版(という言い方でいいのでしょうか)が公開された頃は、韓国の恋愛ものを総称する“韓流”というカテゴリーすらなかった時代だったですね。

日本ではデミ・ムーアの一筋の涙に感動した恋愛映画として捉えているが、アメリカの方ではウーピー・ゴールドバーグのコメディとなっているようだ。公開当時のアメリカの映画雑誌でコメディに分類されていたのを見た記憶がある。

まあ、見る前はソン・スンホンさんも出ていることだし、あまり好みでない韓国恋愛お涙頂戴パターンなのかと思ったら男女逆転が上手くいっていてなかなかの面白さ。もともとの面白い脚本を佐藤嗣麻子中園ミホという二人の女性脚本家が見事に料理している。

いささか出会いのシーンが無理があるなぁとか、運天五月という(ウーピーがやった役)胡散くさい霊媒師が出てくるまでの展開に時間がかかりすぎというきらいはあるが、殺されてしまった原因なども納得の置き換えとなっていて感心である。そして殺人の疑いが韓国人のジュノにかかってくるという設定もサスペンスを産む。その難しい役をソンさんよく日本語交えて演じていて立派だ。

残念なのが、主演女優の松島さんがラブシーンが超似合わないところ。彼女は逆に自分を殺したやくざをぶん殴るところが似合うという(アクション演技ではなく、サマになってしまうということ)やっかいな女優さん。だから自分の殺人を捜査する過程のほうが面白くなってしまうのだ。

結果、残念ながら、この映画を支えているのはソンさんと運天役の樹木希林さんと七海(松島)を裏切る役の鈴木砂羽さんという構図となってしまっている。もうひとつ残念なのはオリジナル「ゴースト」が面白かったのはニューヨークという街が舞台となっている点だったのに、こちらは東京なり、街の存在がないこと。パトリック・スゥエイジが物体移動とかの力を覚える場面はニューヨークならではのものだった。それが、病院にいる子供ゴーストだけでは弱いなぁ。

といろいろあるが、こんだけ出来ていればOKですよ。大いに楽しみました、でも長い!

久しぶりにスティーブン・セガールのアクション映画を『聖地』銀座シネパトスにて拝見。本当は「エクスペンタブルズ」の中でセガールさんに会いたいと思っていたが、やはりよく考えるとあのキャストの中に彼が入るといささかバランスが悪くなることが分かる。それだけセガールがお山の大将がよく似合うと「沈黙の復讐」を見て確認できるのだ。

問答無用の麻薬捜査官で、東欧で事件を追っているという設定。その麻薬市場にはロシアンマフィアと中米ディーラーが暗躍している。ここでビックリなのは、お山の大将セガールさんは当然全編出ずっぱりかと思いきや、この対立する麻薬組織同士の抗争をキチンと描いてること。

ロシア系は家族持ちのギャング、中米系は過激なチンピラという構図でチンピラはギャングの妻と子供を殺してしまう。セガールは違反と知りながら、ギャングの復讐に手を貸すという意外な展開で面白いのだ。

と言いながらセガールの凄さは“どうしたら自分が一番カッコよく画面に映るか”を本当によく知っていること。登場している画面は他の出演者は引立てるのみ。これじゃ、スタローンやドルフ・ラングレンなんかとは並べないよなぁ。

そしてこれだけ出来てりゃ、セガールの映画のレンタルDVDが高回転する理由がよく解りましたよ!