たまにはブルーレイを見よう

基本、劇場で見てこその映画人間なので、ほとんどDVDやBDを見ないのであるが、劇場では未公開に終わってしまった作品や、家のTVで見ても楽しめるお気に入りの名作だったら、たまに再生をする。

前者の例で言えば、先日の東京国際映画祭のクロージング上映作の「ザ・タウン」が見事な面白さだったので監督のベン・アフレックの初監督作品で未公開に終わってしまった「ゴーン・ベイビー・ゴーン」だ。と言いつつ棚にあったDVDを探し当てただけでまだ見ていないのであるが、そういうことだ。

でも「ザ・タウン」公開の時期にどこかの奇特な配給会社が、ディズニーから「ベイビー〜」の権利買って上映してくれないかねぇ。まあ「ザ・タウン」については公開の頃になったらまた騒ごう。

後者はもう劇場で何度も見ているのに、また見ても良いと思わせる自分の映画史での重要作品といえる映画のことだ。最近BDで発売された「バック・トゥ・ザ・フューチャー」はそうした1本で、久しぶりにBD再生を試みてしまったわけである。

「BTTF」の85年の封切りから早25年の歳月が流れてしまった。自分の映画史に当てはめるとようやく試写で映画が見られるようになった時期だったか?83年3月にビデオ創世記のこの映像業界に入り2年が過ぎ、大手映画会社の人に出会い親切にしていただき“明日の夜テスト試写があるから夜遅くても大丈夫だったら見る?”と声をかけて頂いた。それが1作目。

記憶をたどれば、多分85年の9月の初めだったろう。今もテスト試写があるのか分からないが、明日マスコミ完成披露試写という前日に必ずテストがあったそうな。マリオン11階の大劇場の中に観客はなんと10人ほどだったろう(贅沢の極み!)。

当時アメリカ映画は、ほとんど半年遅れての日本公開がパターンであった。この1作目もアメリカではサマーシーズンの公開、日本は正月映画だった。また現在のようなnetですぐその映画の内容がわかる時代ではなかったため、なんかアメリカで面白そうな映画がヒットしているらしいぞ?過去に行って自分のお母さんに逢う内容らしい、という程度の情報しかなかったのだ。

そんな無知の中、突然1作目を見てしまったのだ、どれだけその面白さにビックリしたことか今の若い人には想像つかないであろう。そんな貴重な鑑賞体験をしてしまったから、やはり1作目は自分にとって特別な存在となっているのだ。

その後、封切りでもう一回劇場へ、ビデオ、LD、DVDと何度見たことだろう。しかし今回BD発売となって何年かぶりに再見。もちろん内容は分かっているが、それでも『見てしまう』のが名作の条件。オンボロTVであるが、大いに楽しむ。ここで発売元がこだわった発売日が10月26日で、最初はなんでその日にこだわるかが分からなかった。しかし再見して納得だ。

10月26日とは劇中、ドクがマーティと一緒にショッピングモールのパーキングで実験をして、無事愛犬アインシュタインデロリアンから戻って来たその日なのだった。マーティにJVCのビデオカメラを回させドクは時計を見ながら“え〜、只今10月26日の〜”と記録するために喋るのであった確認できたのだった。

発売元は商品品番にも1985を用いて遊び心を見せてくれている。それはいかにもこの映画の世界観そのものとしてニヤッとしてしまう。映画のストーリーそのものを語るのではなく、その世界観を語って共有することが、おそらくこの映画の正しい楽しみ方なのだろう。

NYでの発売イベントで登場したマイケル・J・フォックスの元気そうな姿を見てホッとしたファンも多いことだろう。何よりである。自分は1作目絶対派なのだが、3作目をフェイバレットとする人が意外に多いことも事実だ。まあ、西部劇テイストに魅了されるのも大いに理解出来ますなぁ。