やっぱりハリウッドミュージカルだ!

こうして一応ブログのようなものを書き始めてみて、気がついたのだが、どうにも洋画の分が悪いのだ。新作封切りにしても、コレ!という劇映画がなく、ハリウッド製のアニメで“いいんじゃないの”という程度なのだ。さらに旧作名画を見せてくれる映画館は、ほとんどが邦画の上映館であり、洋画の名作をスクリーンで追いかけることが困難になってきている。

そんな中、邦画しかやらないと思っていたシネマヴェーラ(他にはフィルムセンターぐらいが洋画をフォローしてくれる)が洋画の旧作名画特集上映をしてくれたので、さっそく「スイングホテル」を見に行く。

言わずと知れたフレッド・アステアビング・クロスビー競演ミュージカルだ。未だに国内版DVDはパブリック・ドメイン版のみで、この時代のパラマウントのソフト発売権を持っているユニバーサルからは出てきていない。よって自分の手元にも輸入版のLDがあるだけで、一時期クリスマスになると「スイング〜」か「素晴らしき哉、人生」のどちらかを見ていたが、実は映画館では初めてなのであった。

やはり大きな画面(スタンダードサイズでも)で見るミュージカルは最高である。そして、その楽しさは格別である。お話自体はシンプルだ。アステアとビングは女性を入れたコンビの芸人。しかしアステアはすぐに女性を独り占め。取り残されたビングは田舎の農園を改築した、祝日にしか公演しないレストランシアター“ホリデー・イン”(これが原題名)を始める。そこでビングとコンビを組んだ女性をまたアステアが横からさらってしまい、さあ大変!というものだ。

ふたりのコンビ芸の見せ場はファーストシーンとラストシーン(カットを割っているので『ワシントン誕生日』は別格)それ以外はそれぞれの見せ場。ビングは『ホワイト・クリスマス』と『イースター・パレード』のナンバー。アステアは即興で踊れと言われる『爆竹ダンス』と酔っ払ってマージョリー・レイノルズを相手に見せるダンス(これが凄い!)が作品全体のメインだろう。

こうしたシンプルな黄金時代のハリウッドミュージカルを久しぶりに見てみて、今のミュージカルとどこが違うかが分かりましたよ!ビングの歌声、アステアのダンスという芸を堪能させながらも、そうしたソング&ダンスシーンも物語の進行に一役買っている黄金期に対し、最近のソング&ダンスはすべてクリップ化して全くその場面自体は物語の進行を止めてしまっているという点だ。これでは上映時間が長くなるわけだ。

後にビングとダニー・ケイとヴェラ・エレンとローズマリー・クルーニー(ジョージの叔母さんですね)で「ホワイト・クリスマス」となる、その原型だが、こちらの方がず〜っと面白い!アーヴィング・バーリンの名曲の数々が堪能できるのでクリスマスといわず何度でも見たくなった。どこかでドメインのDVDを買おうっと!