3Dがアクションの流れを止めている!

ゲームはやらないので、「バイオハザード」シリーズのゲームと映画の違いとか、そのキャラクターそのものへの思い入れとか全くない。シリーズ1作目は密室空間をうまく使ったガールズアクションで、リュック・ベッソンに使い古されたミラ・ジョボヴィッチが見事な格闘シーンを見せ、新しい魅力を発揮していたという印象。

2作目は密室から地上に飛び出し、全体アクションがビルの上での「ダイハード」ばりになり、ジルという新しいガールも登場して、これでシリーズもないだろうと思っていた。

ところが、時代をいわゆる近未来化して、舞台を地球崩壊後の荒野としたアイディアが見事な3作目は意外と面白く、2作目が「ダイハード」なら『3』は「マッドマックス2」である。この荒野に逃げ込んだ人間たちの脱出のサスペンスと葛藤がいわゆるスタイリッシュというヤツで、初めて“このシリーズ面白かったんだ!”と思いましたな。

そして『4』も出来てしまった。ミラはアンジーに負けずアクション女優のトップに君臨しようとしていますね。そのアクションのお手本は今回は「マトリックス」。しかし前作まではお手本とした各アクション映画のエッセンスを頂きながらも『真似』にはなっていなかったが、今回はちょっとそこまで真似るか?という印象。

細菌会社の人間もサングラスを掛けて、まるでエージェント・スミスだし、なによりアクションのスローモーション化の場面を見ると『4』を作ってみたら「マトリックス」になったというより「マトリックス」画像を3D化してみたく『4』作ったのか?と見えてしまう。

問題はその3Dだ。最終的には画像に責任を持つ監督のセンスだろうが、立体画像を見せることに注力した構図すぎてアクションのダイナミック感が損なわれている。1画面の中で立体に見せなければならないから、アクションの連続性が欠けてしまっているのだ。また「マトリックス」画像は、止まった瞬間に360度回転させ立体に見せた2Dなのだから斬新ではあったが、2回目はなかったように、アクションの連続性の効果を奪うことのデメリットも持っているのだ。

それを止めた瞬間が『一番飛び出すでしょう!』と誇ったように見せてもアクション映画としてはダメですよね。早い画面転換が必要なアクション映画のジャンルには3Dは向かないことが分かってしまったのが「バイオハザード4」ですね。

あと、これは脚本上の問題だけど、段々とウィルスゾンビにやられていくの人間たちの扱いが雑ですな。えっ、ここで死んでしまって、他の登場人物たちはなにか悲しむのかなと思いきや、場面はそんなこと気にせず、どんどんスルーしていくのがもの凄く気になったのですよ。ビルに残された人間たちには監督の興味は全くなかったように見えますな。

しかし、ファーストシーンの渋谷の場面で登場する日本の(本業は歌手でしょ)女優さん、こんな役で喜んでいいのでしょうか?台詞も無くただゾンビになって下さいのオファーよく受けましたよね。エンドクレジットは『J-POP GIRL』となっていたが、やはりこれでもハリウッドデヴューって周りは言うのだろうなぁ、可哀そうに…。

でも今回ははっきりと『5』あるよ!という終わり方なので潔いと思いますよ。ずっと応援するからミラにはアリスを演じ続けてもらいましょう!