ノーランとシャマラン

分かりやすさが求められている時代という。映画が分かりやすいほうがイイのが当然のことだが、分かりやすさを求めるばかりに、結末まで様々な媒体で紹介するようになってしまっているのが問題ではある。

例えば「踊る3」。どうしてああまで逐一紹介してしまうのだろうか?それは現代の若者たちが、すべての情報を収集した上で、皆と同じに『ハズレなし』を確認した上でしか映画館へ行かない世代だかららしい。よって製作側もあの日向真奈美を隠そうともしない戦略に出たということだろう。

そんな中、アメリカ映画の監督でちょっと分かり難いなぁと思わせている代表格がクリストファー・ノーランだろう。最新作の「インセプション」は一言では説明できない分からなさだ(面白くないとは別次元)。要するに夢に夢を重ね、どれが現在のお話だか分からなくさせて喜んでいるのだ。

試写で見た友人が『彼も「女王陛下の007」が好きだったんだねぇ』と言い得て妙なコメントを言ったが、ズバリ一言で作品を評することがしにくい監督だからだろう。結局“映像はすごいんだよ”という一番困った褒め言葉しか出てこなくなってしまう監督がノーランということだ。よって全世界でこの映画がどう受け入れられるのか興味深々である。

もうひとりの監督はM・ナイト・シャマラン。この監督は分けが分からんというより『ヘンテコリン』な映画ばかりで逆に観客を引き付けている。しかしあれほど高額で脚本がスタジオが買い取るというほどではないので、それがハリウッドの七不思議のひとつではなかろうか。

今回の「エアベンダー」はパラマウント。初期の「シックスセンス」「アンブレイカブル」がディズニーで、「レディ・イン・ザ・ウォーター」はワーナー、「ハプニング」はFOXとよくもまあ、それぞれのスタジオに売り込めますこと。

前半の展開がおどろおどろしく、さあどうなると思った瞬間『それかよ!!』と思わす脚本が魅力(まあ、あんまり付いていく人いなくなったけど)とするなら「エアベンダー」にはそれがなくあまりにまともでガッカリ。

もちろん作品の世界観は「ドラゴンボール」に「ネバーエンディングストーリー」を足し、ハリーポッター系でお茶濁すかと思ったら「エデンの東」まで入れてきてのごった煮感なのだが、話はきわめてシンプル。それもその筈、製作はパラマウント系のニッケルオデオン社でファミリーエンタメ企業ではないか(キッズTV会社)。そりゃ、ヘンテコリンにはできないよね。唯一ラストの決めポーズだけが変といえば変だけど。

まあ、アメリカではTVでこの話が知られているようなのでヒットしているようだが日本じゃ惨敗でしょう(でも続編は出来そうだよね)。シャマランがこんなに特撮使っちゃツマリません!

という訳でこの二人の監督は分かりにくさ一直線なのであるが、だからこそ今回ばっかりは『それじゃ駄目でしょ!』だ。
ノーランには「007」シリーズを分かりやすく作ってもらいたくシャマランには「エルム街の悪夢」に続編が出来るのなら監督してもらいたいよな。