シカゴ上演中

昨年に続いて今年も赤坂で米倉涼子主演の「シカゴ」が上演されている。昨年は米倉と和央ようかロキシーとヴェルマを演じていたが、今年はブロードウェイでヴェルマを演じたアムラ=フェイ・ライトを招き、日本語でヴェルマを演じてもらっている。こんなことっていまだかつてないよね、日米両方で同じ役を演じる女優なんて・・・。

そもそも「シカゴ」に出会ったのは、今はなき新宿シアターアップルでの上演であった。主役の二人は鳳蘭上月晃だったと思う。悪徳弁護士役の植木等が強烈な印象を残した舞台だった。その後、映画化となりオスカーまで獲ってしまうのだが、この映画が好きかといえば、そうではなかった。

「NINE」もそうだが、ロブ・マーシャル監督が考えるミュージカルはナンバーはすべて空想や妄想のなかに存在して、現実の話の中では進行しない作りなのだ。要するに『道端で突然歌い始める』のが駄目なのだろう。そこがもう合わないのだ。
ミュージカルこそ究極の感情の表現方法として作られたものだと思っている人間とは永遠に融合出来ないだろう。

で、この「シカゴ」である。やはり舞台で作られたものは舞台で見るという意識はあるにせよ、映画より遥かに面白い。というより映画がボブ・フォッシーテイストを消してしまったと確認できるのだ。

とは言え、この感想は昨年の舞台を見た感想であり、今年は都合で見られない。しかし、演じている関係者の手ごたえとその人たちに伝わってくる評判は昨年以上とのこと。

実は20年以上の付き合いになる友人Hがその関係者というか、出演者なのである。本人はLA在住のミュージカルアクターなので、こうした日本での公演はいわゆる出稼ぎというやつ。昨年も出演していたが、今回のほうが『良い出来!』とのこと。

昨年、最初に上演の話を聞いたときは正直『?』だった。だって米倉さんって歌えるの?と誰しも思うじゃないですか。弁護士役の河村隆一だって『あの歌い方は違うでしょ!』だった。その不安は見事に解消されていたのでビックリ、かつ嬉しくなりましたね。よっぽどの稽古だったのでしょう。ちゃんとゴージャスなロキシーになっているし、いやらしい弁護士だった。

その三人の主役以外の助演陣のアンサンブルの出来も大変よく、その結果、主役をちゃんと引き立てている訳だ。ラストにキャスティング上にサプライズがあるから、この舞台をTVでオンエアすることは出来ないだろうなぁ。でも赤坂ACTシアターの大きさがミュージカルにほどいいので、その空気感も伝えられたらと思うのだ。