デ・ニーロとパチーノと70年代の男優たち

「ボーダー」は「ヒート」以来のデ・ニーロとパチーノの競演である。「ヒート」はいささか二人の競演場面ということについては不満が残った(映画の出来とは全く別だが)が、この「ボーダー」のがっぷり四つの競演であれば文句はない。

でもこれがメジャースタジオで作られなかったのが今のアメリカ映画の問題で、この二人を組ませる辣腕のプロデューサーがいないのだろう。かつてポール・ニューマンスティーブ・マックィーンを「タワーリング・インフェルノ」で競演させたアーウィン・アレンのような。

「哀しみの街角」を見ていなかったのでアル・パチーノを最初に見たのは当然「ゴッドファーザー」。3男坊のマイケルがドンとなっていく過程に魅了され、おそらく70年代もっとも追いかけて見た男優となってしまった。「PART2」はもちろん「セルピコ」「狼たちの午後」「スケアクロウ」などなど。

ポール・ニューマンが長年オスカーが獲れず、結局「ハスラー2」で」受賞して、『なんだかなぁ』となった様にパチーノも「セント・オブ・ウーマン」の受賞もそれで良いの?という感じだった。よって(言い訳か?)「セント〜」は見ていないのです。

デ・ニーロを最初に見たのももちろん「PART2」の若き日のビトー・コルレオーネですね。「レイジング・ブル」は凄いけどあんまり好きな映画じゃない。なんか盟友スコセッシとのコンビはでのデ・ニーロは好みじゃないようで「ディア・ハンター」を筆頭に「ミッドナイト・ラン」とアル・カポネの「アンタッチャブル」となっちゃうもんね。

二人にはまだまだ頑張ってもらいたいもので、その上にイーストウッドがいるんだらから枯れてほしくないよね。加えて70年代から活躍している組としてはダスティン・ホフマンジャック・ニコルソン、TVで頑張っているジェームス・カーン、ロバート・デュバル(って「ゴッドファーザー」組か!)、ジーン・ハックマンデニス・ホッパーあたりはもう無理?

こうして振り返ると70年代は男優の時代か?78年あたりでジョン・トラボルタなんて若造が出てきて、いまや貫禄たっぷりに「パリより愛をこめて」なんてタイトルと中身がかみ合わないアクション映画で気を吐いているのを見ると無条件で応援したくなってしまうのである。