璃子ときい

映画にこだわりをもって(と勝手に思っているのですが)出演している若手女優ふたりの、豪華競演となった「武士道シックスティーン」は本当に宣伝文句どおり『まっすぐな』映画でオヤジ高感度大のガールズ青春スポコンムービーだ。

同じ部活で剣道をやっている二人の女子。しかしその剣道に対する向かい方は大きく違い、成海璃子扮する磯山は幼いころから父の教えを(家は道場)受けて中学NO1から高校へ入ってきた天才。一方、北乃きい扮する西荻は剣道は好きだが、勝つということに貪欲ではなく、楽しく出来ればOKの子。

まず感心するのは、この二人の女の子の違いを、それぞれ振り分けたキャスティングが見事。理想的なキャスティングが出来れば8割がた映画は出来た、は市川昆監督の言葉だっただろうか?この映画は璃子ときいが決まった瞬間に出来たのだ。

化粧っけの全くないふたりが竹刀を交える前に「やぁ〜!!」と気合をかけるその顔が見事!古厩智之監督はその一瞬を捉えたかったのだろう。古厩監督は「ロボコン」という傑作青春映画を作り出した人なので期待した「奈緒子」がハズレてしまってかなりガッカリしたのであるが、きっちりリベンジしてくれましたね。

基本的には女子青春映画だから、暑苦しく汚らしくては困るので、ということでこの女子高の制服は(映画館に」展示してあったが)可愛らしいデザイン。これは女の子の観客も楽しめると請合いますよ。

磯山を部に戻すために二人が果し合いを、制服のままで行うクライマックスが全く見事!ふたりの女優がちゃんと剣道出来てますよね。市原隼人の「ボックス」でもそうだったが演じる側がちゃんとそのスポーツ出来ていてこその迫力ですからね。

日本テレビの名作ドラマ「瑠璃の島」の天才子役として登場以来ずっと璃子ちゃんを見てきているが、これが一番いいんじゃない(「書道ガールズ」はまだ見てませんが)。きいちゃんには、スポーツのイメージがなかったので(まあ普通「ハルフウェイ」のイメージでしょ)、こんなに体が利く女優だと思わなかった。これならアクション映画やがて出来るよね。

WOWOW製作のTVドラマは良質であることは証明されているが、映画のほうも(もちろん「犯人に告ぐ」は良かったが)その質の高さが保障付となり、これからますます楽しみになってきた。