メジャーリーグと映画

今シーズンも、NHK-BSでメジャーリーグ放送を楽しんでいる。ヤンキースからエンジェルスに移籍した松井は?相変わらずの孤軍奮闘のイチロー、ボストンの松坂に奇蹟の完投勝利(100球の壁をやぶれるかということ)はあるか?などやはり放送が日本人選手中心のため当然そうした興味中心となってしまう。

しかし、映画ファンとしては実は密かなメジャーリーグの楽しみ方があるのです。それは選手の顔を映画の役者に見立てて勝手な想像をすること。『この選手の顔は、こんな映画に出たらこんな役だろうなぁ』という訳。

例えば、今シーズンボストンからデトロイトに移籍したジョニー・デーモン。最初に見たときから、なんかこの手の顔をした役者「スティング」に出てなかったっけ?となり、よって彼は30年代ギャング映画にぴったりなイメージとなる。

またボストンのクローザーのパペルボンは青春映画のナーズな高校生をいじめる体育会系のモテ男(ただしオツムは駄目のパターン)などなど。もっとも多いのはアクション映画で出てきて10分ぐらいでブルース・ウィリスあたりに殺される悪役顔だったりして。

こんな風に選手の面構えから役者にしてみたら、どんな映画に出そう、なんて見ているのです。まあ、その逆でケヴィン・コスナーを筆頭にハリウッドスターもメジャーリーグ選手に扮していわゆる『野球映画』に出たりしているので一緒だね。「ナチュラル」のレッドフォードなんか」ほんと似合ってるもんな。

ナショナル・パスタイム(国民的娯楽)のメジャーリーグであるから、それを題材にして今までにも多くの映画が作られましたね。ある時期1年1作は必ず作られ、「メジャーリーグ」や「エンジェルス」のように実際のチームを映画に中だけでも優勝させてしまうパターンが流行ったりしたかな。

じゃあ今一番もう一回見たい野球映画は?となると、これはもう「春の珍事」につきますね。1949年のFOX映画、監督ロイド・ベーコン、主演レイ・ミランドのとっても楽しい映画ですよ。あの「巨人の星」の大リーグボール3号解明のくだりでも登場したことでも有名(?)ですよね。

覚えている限りのストーリーはといえば、野球好きの大学教授がある日化学の実験の失敗で木の素材を避ける薬をほんの少しだけ発明してしまう。教授はさっそくその薬をボールに塗って学生に向かって「打ってみろ」と投げると見事ボールはバットをよけ空振りの連続。これで確信した教授は大学をやめ、長年の夢であったメジャーリーグのテストを受け見事合格、大活躍を見せるという奇想天外なお話。

傑作なのは相棒の」キャッチャーがヘアトニックと勘違いして薬を髪の毛にかけ(それでほぼ無くなってしまう)櫛(木の素材)がまったくかけられない場面。腹のそこから笑えます。

そしてシーズン最後の試合、彼は残り少ない薬をだましだましボールにこすりつけ勝利を目指すが、ついになくなり自力の最後の一球を投げる、打ち返されてきたピッチャーライナーを素手で捕り、見事勝利を飾るが指の骨折で選手生命は終わる。

要するにアメリカ映画の精神である『やったら、やれるんだ自分の力を信じて!』スピリットに溢れる作りなのである。そして彼は恋人の待つ大学のある故郷(アメリカ映画大好きのゴーイングホームですね)へ帰るのであった。

主演のレイ・ミランドって「失われた週末」とか「ダイヤルMを廻せ!」などなんか暗いイメージが優先する俳優で好みではないが、これは大好き、こんなコメディ出るんだってビックリしたもんだ。TVの吹き替え版でしか見たことがないので、ぜひ渋谷シネマヴェーラかフィルムセンターかどこかで上映してくれないでしょうか?飛んで見にいくのですが・・・