その1点が許せるかどうかですよね

映画の評価は人それぞれ。そんなことは分かりきったことではあるが、それじゃ、その境目ってどこなんだろと考えてみる。自分の判断基準で受け入れられない映画の場合、どこを見たりしているのだろう・・・。

そして思い当たったのが「その1点の描写が許せるかだなあぁ、許せなかったら物語入っていけねぇもんな」ということである。

例えば、ピクサーの「レミーのおいしいレストラン」。ネズミが料理をつくるという(擬人化はこの場合考えない)いわゆる不衛生感。ここが許せるか許せないかでしょ。まあ、ミッキーもネズミなんだけど、彼は別格的存在か。

2009年度の公開作の中で高評価だった「チェイサー」が自分の中で『韓国の警察ってこんなにアホなの?』の展開になったとき、もうダメでした。さらにラスト近くで正義という存在の否定的描写となってしまったら、ハリウッド映画的正義感が心地よいと信じるこちら側としてはもう受け入れられないのです。

そして新作の中では現在ヒット中の「第9地区」ですね。

地球も宇宙もない、皆ひとつ間違えば難民。共存していく近未来、そこまでは大いに結構。しかし、難民宇宙人が引越しをしなきゃならんとなった時に係りの人『はい、ここにハンコ押して』・・・。ギャクSF映画だったのこれ?宇宙人がハンコ押す映画がアカデミー作品賞にノミネートなの??

後半、エビ星人親子の熱い情愛に感動の展開となり、いや〜、泣かされたとなっている人が大勢いるのには驚きである。まだ楽しいB級だよね、はいいけど。

と、かように映画の評価というか、人の判断基準はいかに様々かで、ティム・バートンの世界観に面白がれなければ「アリス・イン・ワンダーランド」だって面白くないはず。クリント・イーストウッドの名作の数々ですら、若者たちにしてみれば『なんでオジサンたちが評価するのがわかりません』となるからねぇ。

そうした判断は意外や、たった1点の描写が許せるかどうかなんじゃないでしょうか。またその逆もありで、この1点があるから(役者の演技も含め)こそ見る価値あり、となる映画も多数あることも事実ですな。