映画の本の想い出

キネマ旬報が選んでいる『映画本大賞』の2009年度版第1位に選出された「ヒッチコックに進路を取れ」をようやく図書館で貸りることが出来た。同じ市内の別な図書館に蔵書としてあったのだが、貸し出し中のため待ちの状態だったのですよ。

映画の本って結構な値段のするものが多く、買うことがほとんど出来ず(独身の時は買っていたなぁ、サントラとかにはいなかんかった)、今は図書館頼みとなっている。映画ファンにとっては、それだけ映画と本は(原作以外でも)密接な関係ですね。

そもそも映画ファンになって最初にするには、多分お気に入りのスターの写真を手元に置くことでしょ。要するにグラビア映画本に行き着くわけですね。「スクリーン」「ロードショー」ですな。そしていっぱしの映画青年になると「キネマ旬報」や「映画芸術」に行き着くというのが、映画雑誌のひとつのパターンでしょう。

ではいわゆる単行本としての映画の本で最初に買った本は?

自分の場合は芳賀書店の「シネアルバムカトリーヌ・ドヌーヴ」でしたね(ちょい恥ずかしい)。それも中学三年の修学旅行の最中の京都の本屋さんでした。まあ、修学旅行のお小遣いがおみやげ物はなくドヌーヴになっちまったのです。

でもまあ、それも大好きな女優のグラビア本というわけで、本格的な映画本のデヴューは(かなり背伸びしまして)植草甚一氏の「映画だけしか頭になかった」で、夢中で読みましたねぇ。その後、高校時代に日比谷図書館双葉十三郎氏の「映画の学校」を貸りて(これは勉強に近かったかも、それだけ教わりました)、映画をおぼえていくのは、見ることだけではなく読むこともあるのだと知ったわけですな。

でも貸りた本だったので手元にはなかったのですが、昨年親しくお付き合いをさせていただいている業界の友人K氏に『ほれ、俺の持ってるのより綺麗なやつ』とプレゼントされ狂喜乱舞!大事な宝物となりました。でも、今は簡単に古本や絶版本ネットで探せるんですねぇ。便利な世の中だぁ。

続いて若き日の川本三郎氏を知ることになる「脇役グラフィティ」&「女優グラフィティ」。山田宏一氏の「友よ、映画よ」。キネ旬連載を一巻にまとめた和田誠氏の「お楽しみはこれからだ」など、忘れられない映画本の数々に出会うのであった。

そして次のステップになると、そうした日本の映画評論家が書かれたもの以外のものに出会う。世界の映画人たちの伝記ものである。みすず書房から出ていた「ハリウッドのタイクーン」を皮切りにザナックゴールドウィンローレン・バコールヒッチコック(「映画術」は一家に一冊?!)早川雪舟、などなど多くの本に夢中となったのです。

今年も(生誕100年ということで)黒澤明監督関係の書籍が数多く出版されているようだ。映画関係書籍は、この出版不況にもめげず、がんばっていると思うし、買えないけど読むことで応援したいですね。

もっと読みたい、もっと知りたい、それも活字で、紙で!