新作、いろいろありますが・・・

結局、新作を見ておかなければ、という強迫観念にかられ劇場や試写に通わざるをえない。試写状がとどけばなんとか時間をやりくりしてスケジュールをたてる自分がいるのだ。

2010年度の公開作品の中で印象に残っている作品は洋画では「インビクタス」「シャッター・アイランド」「抱擁のかけら」「Drパルナサスの鏡」「アリス〜」など、邦画が「食堂かたつむり」と「時をかける少女」あと「人間失格」(問題はあるけど)ぐらいなかな。

どうも日本映画が不振だ。大型の局製作ものは既製路線の大味なものだし、独立系のものはやはりみんな変化球を自慢げに投げている感じのものばかり。そう、メジャー以外の邦画の一番ダメなところは、これがインディーズだとばかりに野球で言えば内角におちるシンカーを自慢げに投げているところ。

ソラニン」「スィートリトルライズ」「パレード」「誘拐ラプソディー」など変化球ばかりである。だから「ソラニン」の中で宮埼(本当のさきが出ません)あおいだけ堂々の直球の演技の部分だ出て妙にバランスが悪くなってしまう。

「スィート〜」の人間関係の描写、「パレード」の“日常会話でこんなの交わさないでしょ”という台詞のオンパレードに閉口してしまうのである。それってリアルとか等身大とかじゃないんじゃない?

そんな中、これから公開の「孤高のメス」と「ボックス!」の2作品は直球をど真ん中に投げ込んできて心地よい。最近いささか変な役ばかりだった堤真一が天才外科医を演ずる「〜メス」は脳死問題を取り上げながら非常に爽やかな余韻を残すヒーローものといっていい。

そして「ボックス!」は二人の若者のボクシングにかける青春を大阪を舞台に一直線に描く。大阪出身の李闘士男監督はやはり「DMC」じゃなくこっちの人ですよね。長編デヴュー作の「お父さんのバックドロップ」でもそうだったけど、ほんま大阪のオバちゃん描くのうまいわなぁ(と言うかすっきやなぁ!)。

こうした公開は東映東宝で公開されるいわゆるメジャー作品ではあるが、ちゃんと監督が登場人物と向き合っているので、かなりインディーズテイストだったりする。特に「ボックス!」の準主役の高良健吾は「ソラニン」が全く受け付けられない若者役だったため、見事な挽回ぶりだ。というか初めて『男』を演じたんじゃないかなぁ。

その一方、東宝系の大作という触れ込みでありながら残念な出来だったのが「劇場版トリック霊能力者バトルロイヤル」と「座頭市THE LAST」の2本。「トリック〜」はファン限定といえども、この出来じゃまずいでしょ。なにより嫌なのはコメディ部分とミステリー部分の配分の悪さと、上映時間がいらないコネタで長くなっていること。後半のプロットが面白いだけに全く残念である。

座頭市〜」については公開時期がきたら書きましょう。

洋画で無残なのが「アデル」であるが、これは日本人としての見方かもしれないという注釈つき。フランスのコミックキャラクターで有名なアデルの映画化であれば、これでフランス人は良いのかもしれない。女インディの冒険アクションだと思ってると痛い目を見ますね。途中から『違うんだ!』と自分を納得させたら『ある人の復活』の笑って見ていられましたが・・・

一方「ハングオーバー」はアメリカ人だけの世界でしょ(だからワーナーは未公開にしようとした)、と思いきや、これがなかなかの4人の友情物語でちゃんとしている。バチェラー・パーティ(最初にこの言葉を聞いたのはトム・ハンクスの映画だったね)でベガスに行った4人の男たちが酒とクスリでなくなった記憶をたどるお話。

もっとお下劣な最近のばかばかしいコメディかと思っていたのでイイ意味で裏切られました。ベガスのストリッパー役でなんか久しぶりのへザー・グラハムで、その金髪ぶりの健在にニッコリでした。

でも作品そのものも女性にお勧めもできますよ、なんたって男が見てももカッコいいと思うブラッドリー・クーパーが出てますからね。ほんとレイフ・ファインズを若くワイルドにした感じなんだよなぁ。